家を出て１５分ほど真っ直ぐ歩くと駅がある。普段外を歩く時ヘッドホンをして音楽を聴くのだが、その道を歩く時だけはあまりそれをしない。その時間は外界に意識を向けているわけではなく、ひたすら呆然と歩きながら、ちらほら何かを考えている。日頃の鬱憤、寂しさ、自己肯定、自己否定、将来への思案、明日がある事への不満。だいたいそれらがチカチカと視界でうるさくしている。
バイトがある日以外は家で寝転び動画をみている。生きるために生きるのはごめんだと実家を飛び出したのに、もはや何のために生きているのかわからない時間の潰し方をしている。コロナウイルスの影響で人と触れ合うことが禁忌とされていて、国民全員で何かの宗教に突然入ったような感覚。でも宗教の場合、何をあがめているのか、何に救いを求めているのか見当がつかない。あらゆる人が騒ぎ立てる中で、自分がしたいこと、それに際して為すべきことは何なのか、そこから俺はどう動けるのかと考えながら、たまにある有意義な時間を噛み締めて、それが無意味になれば絶望してを繰り返している。
一人でないと何もできないのに一人がなによりも怖い。疲れた。
